新築の家づくりで、意外と見落とされやすいのが24時間換気システムです。
間取りやキッチン、外観、収納などは一生懸命考えるのに、24時間換気については、
「なんとなく空気を入れ替える設備でしょ?」
「電気代がかかりそう」
「冬は寒くならないの?」
「フィルター掃除って面倒そう」
「そもそも止めてもいいの?」
くらいの理解で終わってしまう人も多いのではないでしょうか。
でも、実際に住み始めてから気になりやすいのは、こういう地味な設備だったりします。
特に最近の家は、昔の家に比べて気密性が高くなっています。だからこそ、計画的に空気を入れ替える仕組みが大切です。
この記事では、24時間換気システムの基本から、電気代、フィルター掃除、寒い・うるさいと感じる原因、吸気口や浴室・マンションでの注意点まで、家づくり初心者にもわかりやすく解説します。
24時間換気システムとは?家の空気を入れ替えるための設備
24時間換気システムとは、名前の通り、24時間連続して家の中の空気を入れ替えるための設備です。
窓を開けなくても、給気口から外の空気を取り入れ、排気口や換気扇から室内の空気を外へ出す仕組みになっています。
なぜ必要なのかというと、主な目的はシックハウス対策です。
建材や家具などから出る化学物質、生活の中で発生する湿気、におい、二酸化炭素などを室内にため込まないようにするために、計画的な換気が必要になります。
国土交通省の資料でも、シックハウス対策として、住宅等の居室では換気回数0.5回/h以上の24時間換気システムの設置が必要とされています。これは、ざっくり言うと「1時間で部屋の空気の半分程度が入れ替わる」イメージです。
つまり24時間換気は、あると便利なオプションというより、現在の住宅ではかなり基本的な設備です。

24時間換気システムは止めてもいい?基本はつけっぱなしが前提
結論から言うと、24時間換気システムは基本的につけっぱなしで使うものです。
「24時間」と名前についている通り、常時運転を前提に設計されています。
もちろん、フィルター掃除をするときや、台風・外の煙・強い臭気などが一時的に気になるときに、取扱説明書に従って一時停止することはあります。
ただし、電気代がもったいないから、寒いから、音が気になるからという理由で、長期間止めっぱなしにするのはおすすめしません。
24時間換気を止めると、次のようなことが起こりやすくなります。
- 室内の空気がこもる
- 湿気が抜けにくくなる
- 結露やカビの原因になりやすい
- においが残りやすい
- 家具や建材から出る化学物質が排出されにくい
- 給気と排気のバランスが崩れる
特に新築直後は、建材や接着剤、家具などのにおいが気になることもあります。だからこそ、入居後しばらくは換気をしっかり意識した方が安心です。
「止める」のではなく、正しく使いながら、不快な原因を減らすという考え方が大切です。
24時間換気の電気代はいくらくらい?高くなりにくい理由
24時間換気と聞くと、
「ずっと動かしていたら電気代が高そう」
と感じる人もいると思います。
ただ、24時間換気システムの電気代は、エアコンや浴室乾燥機のように大きく跳ね上がるものではありません。
計算式はシンプルです。
消費電力(kW) × 使用時間 × 電気料金単価 = 電気代
たとえば、消費電力10Wの換気設備を24時間・30日使う場合で考えると、
10W ÷ 1000 × 24時間 × 30日 × 31円 = 約223円
です。
20Wなら約446円、30Wなら約670円ほどになります。
もちろん、実際の電気代は機種、風量、住宅の大きさ、電力会社の料金プランによって変わります。ここでは、家電の電気代表示でよく使われる目安単価31円/kWhで試算しています。なお、この31円/kWhは全国家庭電気製品公正取引協議会が目安単価として示しているものです。
つまり、24時間換気の電気代はゼロではありませんが、月数百円程度に収まるケースも多いです。
個人的には、この電気代を節約するために換気を止めるより、フィルター掃除や風量設定を見直した方が、家にも体にも良いと思います。

24時間換気が寒いと感じる原因と対策
24時間換気でよくある不満が、
「冬になると寒い」
「給気口の近くがスースーする」
「せっかく暖房しているのに冷気が入ってくる」
というものです。
特に第3種換気の場合、排気は機械で行い、給気は壁の給気口から自然に取り入れる仕組みが多いため、外の冷たい空気がそのまま入ってくるように感じることがあります。
寒いと感じる主な原因
24時間換気が寒いと感じる原因は、主に次のようなものです。
- 給気口の位置がソファやベッドの近くにある
- 冷たい外気が直接入ってくる
- 給気口の風量が強い
- 高気密高断熱の家でも換気計画が合っていない
- フィルターや給気口まわりの汚れで空気の流れが悪い
- 暖房計画と換気計画が合っていない
特に、リビングのソファ横、寝室の枕元、子どもの勉強机の近くに給気口があると、体感として寒く感じやすいです。
寒い時の対策
対策としては、まず次の順番で確認するとよいです。
- 給気口が全開になっていないか確認する
- フィルターが詰まっていないか確認する
- 給気口の位置と家具配置を見直す
- 風が直接体に当たらないようにする
- 専用フィルターやカバーの使用可否を取扱説明書で確認する
- どうしても寒い場合は施工会社・メーカーに相談する
ここで注意したいのは、寒いからといって吸気口を全部閉じっぱなしにしないことです。
空気の入口をふさいでしまうと、換気量が足りなくなったり、排気側だけが強く働いて室内が負圧になったりすることがあります。
寒さ対策は、閉じるよりも「風の当たり方を変える」「フィルターを掃除する」「風量設定を確認する」方向で考えた方が安全です。
24時間換気がうるさい原因と確認すべきポイント
24時間換気でもう一つ多いのが、
「音が気になる」
「寝室でうるさい」
「ヒューという音がする」
「浴室やトイレの換気音が大きい」
という悩みです。
24時間動いている設備なので、静かな夜ほど音が気になることがあります。
うるさい原因
24時間換気がうるさい原因としては、次のようなものがあります。
- 換気扇本体の運転音
- 風量が強すぎる
- フィルターが詰まっている
- 給気口や排気口にホコリがたまっている
- ダクト内で風切り音が出ている
- 部屋が負圧になっている
- 給気口を閉めすぎている
- 経年劣化や部品の不具合
三菱電機の浴室暖房・換気設備の資料でも、バサバサ音やヒュー音がする場合、浴室ドアなどの空気取入口が閉まっている、またはほこりが詰まっている可能性があり、給気口を開ける・ほこりを取り除くことが案内されています。
つまり、音が気になるときは、いきなり故障と考える前に、まず空気の通り道を確認することが大切です。
うるさい時のチェックリスト
- フィルターにホコリが詰まっていないか
- 給気口が閉まりすぎていないか
- 排気口にホコリがついていないか
- 風量が「強」になっていないか
- 浴室ドアのガラリやアンダーカットがふさがっていないか
- 寝室近くに換気本体がないか
- 入居後すぐからうるさいのか、途中からうるさくなったのか
途中から音が大きくなった場合は、汚れや部品の劣化、不具合の可能性もあります。
掃除しても改善しない場合は、住宅会社やメーカーに相談した方がよいです。
24時間換気のフィルター掃除・交換頻度の目安
24時間換気システムで一番現実的に面倒なのが、フィルター掃除です。
でも、ここを放置すると換気性能が落ちます。
フィルターがホコリで詰まると、
- 空気が入りにくくなる
- 換気量が落ちる
- 音が大きくなる
- 電気代が無駄にかかる
- 給気口まわりが汚れやすくなる
- 花粉やホコリを十分に防げなくなる
といった問題が起こりやすくなります。
掃除頻度は機種によって違います。たとえば、MAXの24時間換気システム資料ではフィルターのお手入れを1か月に1回程度と案内しているものがあります。一方で、パナソニックの全館空調熱交換気システムでは、静電HEPAフィルターのお掃除目安を半年に1回程度としている例もあります。
つまり、「24時間換気のフィルター掃除は何か月に1回」と一律で決めるのではなく、自宅の機種の取扱説明書を確認することが大前提です。
一般的な掃除の流れ
機種によりますが、基本的な流れは次の通りです。
- 24時間換気を一時停止する
- 給気口や本体カバーを外す
- フィルターを取り出す
- 掃除機でホコリを吸う
- 水洗い可能なフィルターは水洗いする
- しっかり乾燥させる
- 元に戻す
- 換気を再開する
注意点は、濡れたまま戻さないことです。
湿ったフィルターを戻すと、カビやにおいの原因になることがあります。
また、水洗いできないフィルターもあります。必ず取扱説明書を確認しましょう。
吸気口は閉じてもいい?閉めっぱなしにする注意点
寒い時や外の音が気になる時に、ついやってしまいがちなのが、
「吸気口を閉じる」
という対応です。
一時的に調整する程度なら問題ないケースもありますが、閉めっぱなしはおすすめしません。
24時間換気は、空気の入口と出口がセットで成り立っています。
吸気口を閉じると、空気の入口が足りなくなり、排気だけが働いてしまうことがあります。その結果、ドアが重く感じる、すき間から音がする、換気扇の音が大きくなる、レンジフードを使った時に空気が引っ張られる、といったことが起きる場合があります。
特に高気密住宅では、空気の入口をふさぐ影響が出やすいです。
寒い場合は、吸気口を完全に閉めるよりも、
- 風量を調整する
- 専用フィルターを使う
- 家具配置を変える
- 風が直接当たらないようにする
- 給気口の位置を設計段階で確認する
という対策の方が現実的です。
家づくり段階であれば、給気口の位置は必ず確認した方がよいです。
ソファの真横、ベッドの頭側、デスクの正面などにあると、住んでから地味に気になります。
浴室・トイレ・マンションの24時間換気でよくある疑問
24時間換気は、戸建てだけでなくマンションでもよく使われています。
特にマンションでは、浴室換気乾燥機に24時間換気機能がついていて、浴室・洗面所・トイレなどから排気し、各居室の給気口から空気を取り入れる形が多いです。
浴室の24時間換気は止めてもいい?
浴室の24時間換気も、基本はつけっぱなしが前提です。
浴室は湿気がたまりやすい場所です。
止めっぱなしにすると、カビ、におい、結露の原因になりやすくなります。
入浴後は24時間換気だけでなく、必要に応じて「強換気」や「乾燥」モードを使った方がよい場合もあります。
トイレの換気は24時間必要?
トイレもにおいや湿気がこもりやすい場所です。
24時間換気の排気経路に含まれている場合は、勝手に止めず、通常通り使うのが基本です。
音が気になる場合は、フィルターや排気口の掃除、風量設定を確認しましょう。
マンションの24時間換気は止めてもいい?
マンションでも、基本的には止めっぱなしにしない方がよいです。
マンションは気密性が高い住戸も多く、窓を開けない時間が長いと空気がこもりやすくなります。
また、マンションの場合は個人の判断だけで給気口や換気設備を改造しない方が安全です。
給気口のカバー交換やフィルター変更をする場合も、管理規約や取扱説明書を確認した方がよいです。

24時間換気で後悔しないために新築時に確認したいこと
24時間換気は、住み始めてから不満が出やすい設備です。
だからこそ、新築時に確認しておきたいポイントがあります。
1. 第1種換気か第3種換気か確認する
住宅でよく使われるのは、第1種換気と第3種換気です。
第1種換気は、給気も排気も機械で行う方式です。熱交換型であれば、外気の温度差をやわらげやすく、寒さ対策にも有利です。ただし、設備費やメンテナンス費用は高くなりやすいです。
第3種換気は、排気を機械で行い、給気は給気口から自然に取り入れる方式です。シンプルで採用例も多いですが、給気口からの冷気が気になりやすいことがあります。
どちらが絶対に正解というより、家の断熱・気密性能、予算、メンテナンス性、住む地域とのバランスで考える必要があります。
2. 給気口の位置を確認する
給気口の位置はとても重要です。
図面上では小さな記号でしかありませんが、住んでからの体感に影響します。
特に確認したいのは次の場所です。
- ソファの近く
- ベッドの頭側
- 子どもの勉強机の近く
- ダイニングの座る位置
- ワークスペースの正面
- エアコンの風とぶつかる場所
冷気や風が直接当たる位置にあると、住んでから「ここ寒いな」と感じやすくなります。
3. フィルター掃除のしやすさを確認する
高性能な換気設備でも、掃除しにくい場所にあると続きません。
確認したいのは、
- フィルターの場所
- 脚立が必要か
- 掃除頻度
- フィルター交換費用
- 交換用フィルターの入手しやすさ
- 自分で掃除できるのか
です。
毎月掃除が必要なのに、天井の高い場所にあって毎回脚立が必要だと、だんだん面倒になります。
性能だけでなく、自分がメンテナンスを続けられるかまで考えた方がよいです。
4. 音の出やすい場所を確認する
寝室や子ども部屋の近くに換気本体がある場合は、音が気にならないか確認しましょう。
特に音に敏感な人は、モデルハウスや完成見学会で、換気設備の音を意識して聞いてみるのがおすすめです。
昼間は気にならなくても、夜になると気になることがあります。
5. 高気密高断熱との相性を確認する
高気密高断熱住宅では、換気計画がとても重要です。
家の性能が高いほど、適当にすき間から空気が入るわけではありません。
そのため、断熱・気密・換気・空調をセットで考える必要があります。
「高断熱だから暖かいはず」と思っていても、給気口の位置や換気方式によっては寒さを感じることがあります。
ハウスメーカーや工務店には、
- 換気方式は何か
- 熱交換はあるか
- フィルター掃除はどのくらい必要か
- 給気口はどこに付くか
- 冬に寒く感じやすい場所はないか
- 音の対策はされているか
を確認しておきましょう。
24時間換気システムのよくある質問
24時間換気は本当に24時間つけっぱなしですか?
基本的にはつけっぱなしです。
一時的な停止はありますが、普段は常時運転する前提で使います。
24時間換気を止めると電気代は節約できますか?
少しは節約できますが、月数百円程度の差であるケースも多いです。
換気を止めて湿気やカビ、におい、空気のこもりが起きる方がデメリットは大きいと思います。
24時間換気が寒い時はどうすればいいですか?
まず給気口の位置、風量、フィルターの汚れを確認しましょう。
完全に閉じるのではなく、風が直接体に当たらないようにする、専用フィルターを使う、家具配置を変えるなどの対策がおすすめです。
24時間換気がうるさい時は故障ですか?
必ずしも故障とは限りません。
フィルター詰まり、給気口の閉めすぎ、排気口の汚れ、風量設定などが原因の場合もあります。
掃除しても改善しない場合は、施工会社やメーカーに相談しましょう。
フィルター掃除はどれくらいの頻度ですか?
機種によって違います。
月1回程度が目安のものもあれば、半年に1回程度のものもあります。
必ず自宅の取扱説明書を確認しましょう。
まとめ:24時間換気は“止める”より“正しく使う”ことが大切
24時間換気システムは、家の空気をきれいに保つための大切な設備です。
ただ、家づくり中はどうしても間取りや設備のデザインに目が行きやすく、換気については後回しになりがちです。
でも実際に住み始めると、
- 冬に寒い
- 音が気になる
- フィルター掃除が面倒
- 電気代が気になる
- 吸気口を閉じたくなる
といった悩みが出てくることがあります。
だからこそ、新築時には「24時間換気がついているか」だけでなく、
- どの換気方式か
- 給気口はどこにあるか
- フィルター掃除はしやすいか
- 音は気にならないか
- 寒さ対策はできているか
- 高気密高断熱との相性はどうか
まで確認しておくことが大切です。
24時間換気は、止めるものではなく、正しく使うものです。
家づくりで後悔しないためにも、見た目ではわかりにくい換気計画まで、しっかり確認しておきましょう。
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