車を買うときに、月々の支払いを抑えやすい方法としてよく提案されるのが「残クレ」です。
残クレは、数年後の車の残価をあらかじめ設定し、その残価を除いた金額を分割で支払う仕組みです。月々の支払いを抑えやすい一方で、住宅購入を考えている人にとっては注意が必要です。Hondaの残価設定型クレジットでも、残価をあらかじめ設定し、その残価を除いた金額を分割で支払うプランとして説明されています。
結論からいうと、車の残クレは住宅ローン審査に影響する可能性があります。
残クレそのものが悪いわけではありません。問題は、住宅ローン審査では「車の支払いも含めて、毎月いくら返済しているか」を見られることです。
この記事では、車の残クレが住宅ローン審査にどう影響するのか、家を買う前に何を確認しておくべきかをわかりやすく解説します。
車の残クレは住宅ローン審査に影響する?
車の残クレは、住宅ローン審査に影響する可能性があります。
理由はシンプルで、残クレも金融機関から見ると毎月返済がある借入の一種だからです。
住宅ローン審査では、年収、勤務先、勤続年数、自己資金、物件の担保評価などさまざまな項目が見られます。その中でも重要なのが、返済負担率です。
返済負担率とは、年収に対して年間のローン返済額がどのくらいあるかを示す割合です。住宅金融支援機構の調査でも、金融機関が重視度を増している審査項目として「返済負担率」が最も多く挙げられています。
つまり、車の残クレがあると、
- 住宅ローンの借入可能額が下がる
- 事前審査で減額される
- 完済を条件にされる
- 他の借入と合わせて審査が厳しくなる
といった影響が出ることがあります。
残クレが住宅ローン審査に影響する主な理由
1. 毎月の車の支払いが返済負担率に含まれる
住宅ローン審査では、住宅ローンだけでなく、既存の借入も含めて返済負担率を見られることがあります。
たとえば【フラット35】では、すべての借入に関して、年収に占める年間合計返済額の割合である総返済負担率が基準を満たす必要があります。基準は年収400万円未満で30%以下、年収400万円以上で35%以下とされています。
たとえば、車の残クレで月4万円支払っている場合、年間では48万円です。
この48万円は、住宅ローン審査上「すでに返済しているお金」として見られる可能性があります。
その分、住宅ローンに回せる返済枠が小さくなります。
2. 借入可能額が下がることがある
車の残クレがあると、住宅ローンの借入可能額が下がることがあります。
たとえば、年収600万円の人が住宅ローンを組む場合で考えてみます。
仮に返済負担率の上限を35%とすると、年間返済額の上限は210万円です。
月額にすると約17.5万円です。
ここで車の残クレが月4万円あると、住宅ローンに使える返済枠は単純計算で月13.5万円程度まで下がります。
| 状況 | 毎月の車ローン | 住宅ローンに使える返済枠のイメージ |
|---|---|---|
| 車ローンなし | 0円 | 約17.5万円 |
| 残クレあり | 4万円 | 約13.5万円 |
もちろん実際の審査では、審査金利、返済期間、物件評価、勤務先、家族構成なども見られます。
ただ、車の残クレがあることで、住宅ローンの借入可能額が数百万円単位で変わることは十分にあります。
3. 支払い遅れがあると信用情報に影響する
残クレで特に注意したいのが、支払い遅れです。
住宅ローン審査では、信用情報も確認されます。
CICは、クレジットやローンの契約・申込に関する客観的な取引事実を信用情報として登録し、クレジット会社が顧客の信用を判断する参考資料として利用すると説明しています。
また、CICの開示報告書では、入金状況や遅延有無などが表示される項目があります。
つまり、残クレの支払いをうっかり遅らせると、住宅ローン審査で不利になる可能性があります。
特に注意したいのは、次のようなケースです。
- 口座残高不足で引き落としできなかった
- ボーナス払い月に資金が足りなかった
- クレジットカードやスマホ分割払いも遅れた
- 複数のローン支払いが重なって管理できなくなった
家を買う予定があるなら、残クレに限らず、すべての支払い遅れにはかなり注意した方がいいです。
残クレがあると住宅ローンに通らない?
残クレがあるからといって、必ず住宅ローンに通らないわけではありません。
問題は、次の3つです。
- 毎月の返済額が大きすぎないか
- 他の借入と合わせて返済負担率が高くなっていないか
- 支払い遅れなどの信用情報に問題がないか
たとえば、年収に余裕があり、車の支払いも少額で、他に借入が少なければ、残クレがあっても住宅ローンを組める可能性はあります。
一方で、次のような人は注意が必要です。
- 残クレの月額が高い
- ボーナス払いを併用している
- クレジットカードのリボ払いがある
- カードローンを利用している
- スマホ本体代の分割払いを遅れたことがある
- 住宅ローンの借入希望額が大きい
- 頭金が少ない
- 年収に対して物件価格が高い
この場合、車の残クレが最後の一押しになって、審査が厳しくなることがあります。
家を買う前に残クレを完済した方がいい?
家を買う前に残クレを完済した方がいいかは、状況によります。
完済した方がいいケース
次のような場合は、完済を検討する価値があります。
- 住宅ローンの借入希望額がギリギリ
- 事前審査で減額された
- 金融機関から完済条件を出された
- 車の月額返済が大きい
- 他にも借入がある
- 夫婦どちらか一方の単独ローンで借りたい
この場合、残クレを完済することで返済負担率が下がり、審査上は有利になる可能性があります。
無理に完済しない方がいいケース
一方で、手元資金を大きく減らしてまで完済するのは注意が必要です。
家を買うときには、住宅本体以外にも多くの費用がかかります。
- 土地・建物の手付金
- 登記費用
- 火災保険料
- 引っ越し費用
- 家具・家電
- 外構費
- カーテン・照明
- 予備費
残クレを完済した結果、手元資金がほとんどなくなると、今度は住宅購入後の生活が苦しくなります。
そのため、完済するかどうかは、住宅会社や銀行に相談しながら判断した方が安心です。
住宅ローン前に車を残クレで買うのは避けた方がいい?
これから家を買う予定があるなら、個人的には住宅ローンの目処が立つまでは、大きな車のローンは慎重にした方がいいです。
特に注文住宅の場合、最初に考えていた予算よりも総額が膨らむことがあります。
土地、建物、外構、付帯工事、諸費用、家具家電まで含めると、想定より数百万円上がることもあります。
その状態で車の残クレまであると、住宅ローンの選択肢が狭くなります。
特に注意したいのは、次のような順番です。
車を残クレで購入
↓
毎月の支払いが増える
↓
住宅ローンの事前審査
↓
借入可能額が思ったより伸びない
↓
土地・建物の予算を下げる必要が出る
家を買う予定があるなら、車より先に、まずは住宅ローンの事前審査をしておく方が安全です。
残クレがある人が住宅ローン前に確認すべきポイント
1. 毎月の支払い額を正確に把握する
まずは、残クレの毎月返済額を確認しましょう。
見るべきなのは、月額だけではありません。
- 毎月の支払い額
- ボーナス払いの有無
- 残りの支払い回数
- 契約満了時の残価
- 最終回の支払い方法
- 途中完済できるか
- 完済時の手数料
住宅ローン審査では、何となく「月3万円くらいです」ではなく、正確な金額を把握しておくことが大切です。
2. 他の借入も洗い出す
残クレだけでなく、他の借入も確認しましょう。
たとえば、次のようなものです。
- クレジットカードのリボ払い
- カードローン
- 教育ローン
- ブライダルローン
- スマホ本体の分割払い
- 家電量販店の分割払い
- 奨学金
- キャッシング枠
意外と見落としやすいのが、スマホ本体の分割払いです。
金額は小さくても、支払い遅れがあると信用情報に影響する可能性があります。
3. 事前審査前に信用情報を確認する
過去に支払い遅れがあったか不安な人は、信用情報を開示して確認する方法もあります。
CICではインターネットで信用情報を開示する方法が案内されています。
また、JICCも信用情報の収集・提供・管理を行う指定信用情報機関です。
特に、過去に次のような経験がある人は、一度確認しておくと安心です。
- 車ローンの引き落とし遅れ
- クレジットカードの支払い遅れ
- スマホ代の滞納
- リボ払い・キャッシングの利用
- 複数ローンの同時利用
住宅ローンの本審査直前に問題がわかるより、早めに確認した方が対策しやすいです。
残クレがある場合の住宅ローン対策
1. まずは事前審査を受ける
残クレがある状態で、住宅ローンがどのくらい借りられるのかを確認しましょう。
このとき、車のローンを隠すのは避けた方がいいです。
信用情報を見れば、借入状況は確認される可能性があります。
最初から正直に伝えたうえで、借入可能額を確認する方が安全です。
2. 完済条件が出るか確認する
事前審査の結果、金融機関から「車ローンを完済すれば融資可能」と言われることがあります。
この場合は、完済すべきかどうかを具体的に検討します。
ただし、完済する場合でも、手元資金をどれだけ残すかが重要です。
家づくりでは、契約後にも想定外の費用が出ることがあります。
3. 車の買い替えは住宅ローン後にする
家を買う予定があるなら、車の買い替えは住宅ローンの審査後にした方が安全です。
特に、以下のタイミングで車を買うのは慎重に考えたいところです。
- 住宅ローン事前審査前
- 土地探し中
- 建物請負契約前
- 本審査前
- 金消契約前
住宅ローンは、事前審査に通っても本審査で確認されます。
その間に新たな借入を増やすと、審査結果に影響する可能性があります。
残クレと住宅ローンで後悔しやすいパターン
パターン1:車を先に買って家の予算が下がる
一番多い後悔が、車を先に買ってしまい、住宅ローンの借入可能額が下がるケースです。
月々の車の支払いは小さく見えても、住宅ローン審査では大きく影響します。
月3万円の残クレでも、年間では36万円です。
住宅ローンの返済枠から見ると、かなり大きな金額です。
パターン2:ボーナス払いが家計を圧迫する
残クレでは、月々の支払いを抑えるためにボーナス払いを併用することがあります。
しかし、家を買った後は、固定資産税、火災保険、修繕費、家具家電、子どもの教育費など、支出が増えます。
その状態で車のボーナス払いが重なると、家計がかなり苦しくなることがあります。
パターン3:最終回の支払いを甘く見ていた
残クレは、契約満了時に返却・乗り換え・買取などを選ぶ仕組みです。
しかし、車を買い取る場合は、最終回にまとまった支払いが必要になることがあります。
家を買った後にその支払いが来ると、かなり負担になります。
住宅ローンだけでなく、車の契約満了時期も見ておくべきです。
家を買う前なら、車より住宅ローンを優先した方がいい
家を買う予定があるなら、基本的には車より住宅ローンを優先して考えた方がいいです。
車は後から買い替えられます。
しかし、住宅ローンの借入可能額が下がると、土地や建物の選択肢が狭くなります。
特に注文住宅では、予算が数百万円変わるだけで、選べる土地、建物の広さ、断熱性能、外構、設備が変わります。
車の月々の支払いを少し抑えるつもりが、家づくり全体の自由度を下げてしまうこともあります。
まとめ:車の残クレは住宅ローン前に必ず確認しておきたい
車の残クレは、住宅ローン審査に影響する可能性があります。
残クレそのものが悪いわけではありません。
ただし、住宅ローン審査では、車の毎月返済も含めて返済負担率を見られることがあります。
最後にポイントを整理します。
- 残クレは住宅ローン審査に影響する可能性がある
- 毎月の車の支払いは返済負担率に含まれることがある
- 借入可能額が下がることがある
- 支払い遅れがあると信用情報に影響する可能性がある
- 家を買う予定があるなら、車の買い替えは慎重に考える
- 完済すればよいとは限らず、手元資金とのバランスも大切
- 住宅ローンの事前審査前に、車ローンや他の借入を整理しておく
家づくりでは、土地や建物の予算に目が行きがちです。
でも実際には、車のローン、クレジットカード、スマホの分割払いなど、家以外のお金も住宅ローン審査に関わってきます。
「家を買うかもしれない」と思ったら、車の買い方も含めて、早めに家計全体を見直しておくことが大切です。
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