家を売って注文住宅を建てる流れ|住宅ローンが残っている場合の住み替え手順

「今の家を売って、次は自分たちに合った注文住宅を建てたい」

そう考えたとき、最初に整理したいのはハウスメーカー選びではありません。現在の住宅ローンがいくら残っているか、家がいくらで売れそうか、売却後にいくら手元に残るかです。

注文住宅は、土地代と建物本体価格だけでなく、付帯工事や諸費用、外構、家具・家電などにもお金がかかります。今の家の査定額をそのまま新居の予算に組み込むと、売却価格が想定を下回ったときに計画全体が苦しくなります。

私自身、東京都内で土地探しから注文住宅を建てましたが、家づくりでは「建てたい家」より先に「無理なく使える総予算」を見極めることが大切だと感じました。すでに家を所有している人の住み替えでは、そこに売却と住宅ローンの整理も加わります。

この記事では、住宅ローンが残っている家を売って注文住宅を建てる流れ、売り先行と買い先行の違い、査定を依頼するときの注意点を整理します。

この記事でわかること

  • 住宅ローンが残っている家を売るための基本条件
  • 売却前に確認する4つの金額
  • 売り先行・買い先行・同時進行の違い
  • 家を売って注文住宅を建てる具体的な手順
  • 不動産会社の査定額を比較するときの注意点

住宅ローンが残っていても家は売れる?

結論からいえば、住宅ローンが残っていても家を売却することは可能です。

ただし、家には通常、住宅ローンを借りた金融機関の抵当権が設定されています。買主へ引き渡す際には、原則として住宅ローンを完済し、抵当権を抹消できる状態にしなければなりません。

住宅ローンを完済した後の抵当権抹消登記については、法務局も手続きを案内しています。実際の売買では、不動産会社や金融機関、司法書士と連携し、売却代金の受領、ローンの完済、抵当権の抹消、所有権移転を同日に進めるのが一般的です。

参考:法務局「住宅ローン等を完済した方へ」

売却代金で住宅ローンを完済できる場合

たとえば、住宅ローン残高が2,500万円で、売却価格から諸費用を引いた金額が3,000万円なら、売却代金でローンを完済し、残った資金を次の家づくりに回せる可能性があります。

この状態は一般に「アンダーローン」と呼ばれます。ただし、査定額は売却を保証する金額ではありません。資金計画では、査定額ではなく、実際に売れそうな価格と諸費用を差し引いた手取り額で考える必要があります。

売却代金だけでは住宅ローンを完済できない場合

売却代金を充ててもローンが残る状態は「オーバーローン」と呼ばれます。

不足分を自己資金で補えるなら売却できる可能性がありますが、補えない場合は、残債と新居の取得費用をまとめて借りる住み替えローンなどを検討することになります。

ただし、借入額が大きくなるため、誰でも利用できるわけではありません。審査条件や取扱商品は金融機関によって異なります。注文住宅の契約を急ぐ前に、現在借りている金融機関や新たに相談する金融機関へ確認してください。

なお、返済が難しいことを理由に家を手放す「任意売却」は、通常の住み替えとは異なります。住宅金融支援機構も、返済継続が困難な場合の手続きとして別に案内しています。

参考:住宅金融支援機構「融資住宅等の任意売却」

家を売る前に確認したい4つの金額

注文住宅への住み替えを考え始めたら、次の4つを同時に確認します。

確認する金額確認する理由
住宅ローン残高売却代金で完済できるか判断するため
現在の家の売却予想額住み替えに使える資金の目安を知るため
売却にかかる諸費用査定額と手取り額の差を把握するため
次の家に使える自己資金土地・建物・諸費用の上限を決めるため

売却価格から差し引かれる可能性がある費用には、仲介手数料、印紙税、抵当権抹消に関する費用、住宅ローンの繰上返済手数料、引っ越し費用などがあります。利益が出た場合には譲渡所得に対する税金が関係することもあります。

一定の要件を満たすマイホームの売却には、譲渡所得から最高3,000万円を控除できる特例があります。ただし、適用条件があり、ほかの住宅関連特例との組み合わせにも注意が必要です。税金については、税務署または税理士に個別に確認してください。

参考:国税庁「マイホームを売ったときの特例」

査定額ではなく「売却後の手取り額」で考える

たとえば3,500万円の査定額が提示されても、3,500万円がそのまま新居の頭金になるわけではありません。

売却後の手取り額の目安=実際の売却価格-住宅ローン残高-売却諸費用

まずこの金額を試算し、注文住宅に使える予算を決めます。査定額が高いという理由だけで、新居の予算を先に引き上げるのは危険です。

売り先行・買い先行・同時進行の違い

住み替えには、大きく分けて3つの進め方があります。

進め方メリット注意点
売り先行売却後の手取り額が確定し、予算を組みやすい新居完成まで仮住まいが必要になる場合がある
買い先行新居へ直接引っ越しやすい二重ローンや売却期限のリスクがある
同時進行仮住まいや二重ローンを避けられる可能性がある売却・土地・建築のスケジュール調整が難しい

資金計画を優先するなら売り先行

売り先行は、現在の家を売却してから新居を購入・建築する方法です。

売却価格が確定してから次の家の予算を決められるため、資金面では比較的安全です。一方、注文住宅は土地探しから完成まで時間がかかるため、先に家を売ると仮住まいが長くなる可能性があります。

仮住まいの家賃だけでなく、敷金・礼金、荷物の保管料、2回分の引っ越し代も見込んでおきましょう。

住みながら建てるなら買い先行

買い先行は、現在の家に住みながら土地購入や注文住宅の建築を進め、完成後に旧居を売る方法です。

仮住まいを避けやすい反面、旧居が予定どおり売れなければ、一定期間は現在の住宅ローンと新居のローンを並行して負担する可能性があります。

また「○月までに売らなければならない」という状況になると、価格交渉で不利になることも考えられます。金融機関が二重の借入を認めるかも含め、早い段階で確認が必要です。

注文住宅では同時進行の難易度が高い

中古住宅や建売住宅と違い、注文住宅は完成日が確定しにくいものです。土地の引き渡し、設計、確認申請、着工、天候、資材調達などによって予定が変わることがあります。

旧居の引き渡し日と新居の完成日をぴったり合わせる計画には余裕がありません。予定がずれた場合の仮住まいも想定し、不動産会社と建築会社の双方にスケジュールを共有しておきましょう。

家を売って注文住宅を建てる8つの手順

1.住宅ローン残高を確認する

まず、金融機関の返済予定表やWebサービスで、現在のローン残高を確認します。売却予定時期までの残高が必要なら、金融機関に完済予定額を問い合わせます。

2.現在の家の査定を依頼する

次に、現在の家がいくらで売れそうかを確認します。

1社だけでは、その査定額が地域や物件の状況に合っているか判断しにくいため、複数社へ依頼し、金額だけでなく査定根拠も比べます。

3.売却後に残る金額を試算する

査定結果が出たら、住宅ローン残高と売却諸費用を差し引きます。

査定価格がそのまま売却価格になるとは限らないため、強気のケースだけでなく、想定より低く売れたケースも作っておくと安心です。

4.売り先行か買い先行かを決める

自己資金に余裕がなく、現在の家の売却代金を新居に充てる必要があるなら、売り先行が基本になります。

一方、現在のローンと新居の資金を同時に負担でき、金融機関の審査にも通る見込みがあるなら、買い先行も選択肢です。自分たちだけで判断せず、不動産会社と金融機関の両方へ相談します。

5.注文住宅の総予算を決める

新居の予算には、土地代と建物本体価格だけでなく、付帯工事、設計費、登記費用、住宅ローン関連費用、火災保険、外構、家具・家電なども含めます。

「土地3,000万円、建物3,000万円だから総額6,000万円」とは限りません。売却後に残る資金と、新たに無理なく借りられる金額から上限を決めましょう。

6.不動産会社と建築会社を選ぶ

旧居の売却を任せる不動産会社と、次の家を建てるハウスメーカー・工務店を選びます。

不動産会社には注文住宅への住み替えであること、建築会社には旧居売却の進捗を伝え、引き渡し時期や資金実行の条件をすり合わせます。

7.売却活動と家づくりを進める

売却活動では、内覧対応や価格調整が発生します。家づくり側では、土地契約、設計、住宅ローン審査、工事請負契約などを進めます。

売買契約と建築契約は、それぞれ解除条件や違約金が異なります。「旧居が売れなかった場合にどうなるか」を契約前に確認してください。

8.決済・抵当権抹消・引っ越しを行う

旧居の決済では、売却代金を受け取り、住宅ローンを完済し、抵当権抹消と所有権移転の手続きを進めます。

その後、新居の完成・引き渡しに合わせて引っ越します。日程が合わない場合は、仮住まいや荷物保管が必要になります。

家の査定は1社だけで決めない

不動産の査定額は会社によって異なります。これは、各社が参考にする成約事例、地域での販売実績、買主候補の有無、物件に対する評価、販売戦略が異なるためです。

ただし、最も高い査定額を出した会社が、最も高く売ってくれるとは限りません。

媒介契約を取りたいという理由で強気の査定額を提示しても、売れなければ後から値下げを提案される可能性があります。査定額を見るときは、次の点も確認しましょう。

  • 近隣のどの成約事例を根拠にしているか
  • 査定額で売れると考える具体的な理由は何か
  • どのような買主を想定しているか
  • 売却までどのくらいの期間を見込んでいるか
  • 売れなかった場合、いつ価格を見直すのか
  • 担当者が質問に具体的に答えてくれるか

査定額の比較は、不動産会社を選ぶための入口です。金額の高さだけでなく、根拠と販売方針を比較してください。

イエウールで査定を依頼する前に知っておきたいこと

イエウールは、物件情報を入力すると、条件に合う不動産会社へ一括で査定を依頼できるサービスです。公式サイトでは、全国2,000社以上の不動産会社と提携し、最大6社へ無料で査定を依頼できると案内されています。

参考:イエウール公式サイト

複数の不動産会社を自分で一社ずつ探す手間を減らせるのはメリットですが、利用前に次の点は理解しておきましょう。

  • その場で査定結果が表示されるサービスではない
  • 査定を依頼した不動産会社から電話やメールで連絡が来る
  • 地域や物件によって紹介される会社数は異なる
  • 査定額は実際の売却価格を保証するものではない
  • 最も高い査定額の会社を自動的に選ぶサービスではない

したがって、まったく売却する予定がなく、匿名で概算価格だけを知りたい人には向いていません。

一方、2年以内を目安に売却を検討していて、不動産会社からの連絡に対応しながら、査定価格と売却方針を比較したい人には利用しやすいサービスです。

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今の家を売った場合の資金計画を確認する

イエウールでは、物件の条件に合う不動産会社へ最大6社まで無料で査定を依頼できます。 査定額だけでなく、その根拠や売却方針も比較してみましょう。

無料で不動産会社に査定を依頼する

※査定後は不動産会社から電話やメールで連絡があります。査定額は実際の売却価格を保証するものではありません。

イエウールが向いている人・向いていない人

向いている人

  • 2年以内を目安に家の売却を検討している
  • 注文住宅への住み替え予算を具体化したい
  • 複数の不動産会社の査定根拠を比較したい
  • 不動産会社からの電話やメールに対応できる
  • 大手だけでなく地域の不動産会社も候補に入れたい

向いていない人

  • 家を売却するつもりがまったくない
  • 不動産会社とは一切連絡を取りたくない
  • その場で匿名の概算価格だけを知りたい
  • 所有者ではなく、売却を進める権限がない
  • 農地・店舗・工場・倉庫の査定先を探している

自分の状況が後者に近い場合は、無理に一括査定を申し込む必要はありません。売却の意思と時期を家族で整理してから検討しましょう。

注文住宅への住み替えで後悔しないための注意点

査定額をそのまま建築予算にしない

査定額は、不動産会社が売れそうな価格を予測したものです。買主との交渉や市場の変化によって、実際の売却価格は上下します。

新居の予算は、査定額より低く売れた場合でも破綻しない水準に抑えましょう。

仮住まいと2回分の引っ越し費用を忘れない

売り先行では、旧居から仮住まい、仮住まいから新居へと2回引っ越す可能性があります。大型家具を置けない場合は、トランクルームなどの費用も必要です。

土地を先に契約しすぎない

気に入った土地を見つけると急いで契約したくなりますが、旧居の売却見込みと融資条件が整理できていない状態では危険です。

土地代の手付金、住宅ローン特約、建築条件、決済期限を確認し、売却が遅れた場合の対応も決めておきます。

不動産会社と建築会社の説明を別々に受けない

不動産会社は売却、建築会社は新居の契約を優先して話を進めることがあります。全体の資金計画と日程を管理するのは、最終的には施主自身です。

両社から受け取ったスケジュールと資金表を一つにまとめ、食い違いがないか確認しましょう。

売れなかった場合の予備案を作る

  • 売出価格をどこまで下げられるか
  • 売却期限をどこまで延ばせるか
  • 仮住まいになっても対応できるか
  • 新居の仕様をどこまで調整できるか
  • 住み替え自体を延期する判断ができるか

順調に進む前提だけでなく、売却価格と時期が想定を外れた場合も考えておくと、焦って不利な契約をするのを防げます。

よくある質問

住宅ローンが残っている家でも査定できますか?

査定は可能です。査定を受けたからといって、住宅ローンをすぐに完済したり、必ず売却したりする必要はありません。ただし、実際に売却して引き渡す際は、原則としてローンを完済し、抵当権を抹消できる状態にする必要があります。

査定額が住宅ローン残高より低かったら売れませんか?

不足分を自己資金で補う、住み替えローンを検討するなどの方法はあります。ただし、利用できる方法は収入、残債、物件、新居の価格、金融機関の審査によって異なります。査定結果を持って金融機関へ相談してください。

売却と注文住宅の契約はどちらを先にすべきですか?

資金計画の安全性を優先するなら、売却価格の見通しを立てる方が先です。自己資金や借入余力が十分なら買い先行も可能ですが、注文住宅は完成まで時間がかかるため、売却期限と引き渡し時期に余裕を持たせる必要があります。

一括査定では必ず6社から連絡が来ますか?

必ず6社が紹介されるわけではありません。最大6社であり、地域、物件種別、物件の条件によって査定を依頼できる会社数は異なります。

最も高い査定額を出した会社に依頼すべきですか?

査定額だけでは決めない方がよいでしょう。査定の根拠、近隣での販売実績、想定する売却期間、販売方法、担当者の説明まで比較してください。

まとめ|注文住宅を探す前に、今の家の資金を整理する

住宅ローンが残っていても、売却代金や自己資金などでローンを完済し、抵当権を抹消できれば、家を売って注文住宅へ住み替えられる可能性があります。

大切なのは、先に理想の家を決めてしまうことではありません。

  1. 住宅ローン残高を確認する
  2. 現在の家の査定を受ける
  3. 売却後の手取り額を試算する
  4. 売り先行・買い先行を決める
  5. 無理のない注文住宅の総予算を設定する

この順番で進めることで、「旧居が予定より安くしか売れず、新居の予算が足りない」という事態を避けやすくなります。

一括査定を利用する場合も、最高査定額だけを探すのではなく、その金額の根拠と売却戦略を比較してください。今の家の価値を現実的に把握することが、次の家づくりを成功させる最初の一歩です。

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※最大6社。紹介される会社数は地域や物件によって異なります。査定後は各不動産会社から連絡があります。


※本記事は不動産売却および住宅ローンに関する一般的な情報を整理したものです。契約、融資、登記、税務上の取り扱いは、物件や個人の状況によって異なります。不動産会社、金融機関、司法書士、税理士などの専門家へ個別にご確認ください。